思春期に多い病気『伝染性単核球症』とは?
日本人の98%は親が子どもにキスをするので、親の唾液を通して自然とEBウイルスに感染します。しかしながら、たまに子どもにキスをしない親もいるので、思春期、成人になるまでEBウイルスを持たないケースもあるのです。年間に数名だけ見つかるような病気ですが思春期の頃に発生することが多く、キスをきっかけになることから別名キッシングディシーズ(kissing disease)と呼ばれます。診断には立ち入った質問をする必要もあり、思春期のお子さんに彼氏ができましたか?と聞くと「できました」といい、キスをしましたか?と聞くと「しました」と答えて発覚するのです。症状は熱、喉の痛みになりますが、喉を診ると腫れて白苔(はくたい)という白い膿ができることから、子どもなら溶連菌、今ならコロナも考えられます。しかしそれらの病気と違うことは、伝染性単核球症はリンパ節がボコボコと腫れることです。話をよくお伺いして血液検査をすることで診断できるのですが、中には溶連菌であると診断されてペニシリン系の抗生剤を処方されることもあり、EBウイルスの感染症に使うと発疹が出ます。最初の診療でペニシリン系の薬を飲んでいたので、別の病院では薬疹の影響だと思い、抗アレルギー剤を出しても一向に良くならず、当院へ来院して伝染性単核球症だと発覚したケースもありました。伝染性単核球症は抗生剤が効かないので、自然治癒を待つと大体はきちんと治ります。しかし慢性的な肝炎やリンパ腫を起こしたり、脾臓(ひぞう)が腫れてぶつけたりすると破裂して命を落とすため、特に中高生くらいの男の子にはじゃれ合って脾臓をキックしないよう注意喚起をしています。
- オーク内科クリニック
- 柏村 琢也 院長
- 富士見市/ふじみ野西/ふじみ野駅
- ●内科 ●小児科