病気であることを気付きにくいからこそ、定期的な健康診断を心がけてほしい
猫の喉元にある甲状腺からは、体の新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンが分泌されています。甲状腺ホルモンには体を活発に動かしたり、食欲を促進したりするはたらきがあり、生きていくうえで重要な役割を担います。一方で甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうと体に過度な負担がかかり、心臓の病気や高血圧などを発症する恐れがあるため注意が必要です。
甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンの値が高い状態のことをいい、高齢の猫に多くみられる特徴があります。しかし、その症状は一見すると病気とは思わないようなものが多く、年齢に反して異常な食欲を見せる、活発に動き過ぎることなどがあります。このため病気を見過ごされたまま放置されてしまい、心臓の機能や高血圧の合併症などが一気に悪化するケースが少なくないのです。
甲状腺機能亢進症のサインを読み取るためには、甲状腺ホルモンの値を定期的にチェックすることが大事です。そのため当院では7歳以上の猫ちゃんに対して、年に1回の健康診断で甲状腺ホルモンを測定・管理しています。1回の検査では異変に気付かなくても、年単位で数値の変化を見ると何らかのサインが現れることがあります。病気のサインを早期に発見できれば早期の介入が可能になり、治療の幅も広がります。最近では甲状腺機能亢進症に対する猫ちゃん専用のお薬が開発されていますから、症状に応じて適切な治療につなげることができるでしょう。
- そら動物病院
- 玉井 久三 院長
- 足立区/綾瀬/綾瀬駅
- ●犬 ●猫 ●ハムスター