命に別状のある疾患ではない。が、治療によって生活の質は大きく向上する
「瘤」は、「こぶ」とも読めます。下肢静脈瘤とは、足の血管がこぶ状に膨らむものです。長時間、立ち仕事をされている方に多く、足に血が滞留することで物理的に血管が広がってしまうのです。静脈の中には所々に逆流を防止する弁が付いているのですけども、負担がかかりすぎるとこの弁が壊れ、本来は心臓に向かって流れていく血液が足の先の方に流れるようになり、さらに大きなこぶが生じることになります。症状としては、体表面の細かな血管が膨らんだ結果、蜘蛛の巣状に血管が広がっているのが目に見えるようになり、むくみや、足がだるい・重い、などの症状に加え、進行すると痛みを感じたり、皮膚に潰瘍が生じることもあります。
治療は、大きく分けて3種類あります。1つは、保存的治療と呼ばれるものです。就寝時に足を上げることも予防策となりますし、立ち仕事を減らすことも選択肢に入ってきます。それに加え、血の巡りをよくするために足を引き締める弾性ストッキングや着圧ストッキングを履いて、様子を見ていくのが保存的治療です。硬化療法とは、膨らんでる血管に注射をし、血管の内腔を癒着させ、こぶを潰してしまう治療です。それから手術として、血管内カテーテル治療があげられます。血管の中に針を刺し、逆流をしないようにする治療で、現在は日帰りでの手術が主流となっています。
下肢静脈瘤は、命に別状のある疾患ではなく、それが元で足を切断したり、歩けなくなるといったこともほぼありません。ただ、生活の質に大きく影響するものであることは確かで、治療を受けることでむくみやだるさ、痛みから解放されることになります。
- 千葉静脈瘤・循環器クリニック
- 河瀬 勇 院長
- 千葉市中央区/新千葉/千葉駅
- ●心臓血管外科 ●血管外科 ●循環器内科