大越 良夫 院長
YOSHIO OOGOSHI
最後まで口から食べることを支援する歯科医院を目指して
昭和大学歯学部 卒業。都内歯科医院および埼玉県内歯科医院にて訪問診療に従事し、研鑽を積む。2025年2月、『大越歯科医院』を 開設。

大越 良夫 院長
大越歯科医院
越谷市/蒲生茜町/蒲生駅
- ●訪問歯科診療
- ●歯科
「食べる」という営みに深く関わる歯科の可能性に気づいて

歯科医師として臨床研修を終えた後、最初に勤務したのは一般歯科でした。そこでは外来中心の診療にあたっていたのですが、次に勤務した歯科医院で訪問診療に携わるようになりました。当時はまだ、訪問歯科自体が今ほど一般的ではない時代。最初は施設やご自宅をまわりながら、口腔ケアや入れ歯の調整などを行っていましたが、ある日、看護師の方から「この方、口から食べられるようにならないですかね」と声をかけられたことが転機となりました。実はその時まで「食べられるかどうかは医科の領域では?」という気持ちがありました。でも調べてみると、食べる機能に関しては、歯科が大きく関与している分野であることを知ったのです。そこから摂食・嚥下の分野に強い関心を持つようになり、専門的に診療している先生のもとで学び、訪問の現場でも実践を重ねていきました。そして、もっと自分たちの理想とする形で診療を行いたいという気持ちが強くなり、信頼できる仲間たちと共に、2025年2月に『大越歯科医院』を開業することとなったのです
「食べること」の喜びを支える診療を

訪問診療の現場で日々感じているのは、「食べられない」と一度診断された方でも、実は適切な評価とケアによって、再び口から食べることができるケースが少なくないということです。初診時にはまず口腔内を丁寧に確認し、食べられない原因がどこにあるのかを探るところから始まります。脳梗塞や認知症などが関与している場合もありますが、その後の経過の中で回復している方も多くいらっしゃいます。にもかかわらず、その回復が再評価されないまま「禁食」とされてしまっていることが非常に多いのです。
当院では、嚥下内視鏡を用いた評価を取り入れています。鼻から内視鏡を挿入し、飲み込みの状態を直に確認しながら、どのような姿勢で、どの形態なら安全に摂取できるのかを判断します。内視鏡で得られる情報は、患者さんのQOLを高めるための大切な指標です。
また、「食べる楽しみ」と「安全性」の間にあるジレンマにも配慮しています。ご家族の「楽しく食べてほしい」という願いと、施設や医療現場の「誤嚥を避けたい」という方針の間で揺れることもありますが、私たちはその中間に立ち、丁寧に話し合いながら最適な選択肢を一緒に考えていくよう心がけています。
「生きる」だけでなく、「生きる喜び」に応える歯科医療を

医科と歯科の連携が十分とはいえない現在の医療体制では、誤嚥性肺炎などをきっかけに、食べる機能を失ってしまう方が数多く存在します。入院中は禁飲食となり、話す機会も減ることで舌や首の筋力が衰え、退院後にはもう口から食べることができない状態になっているということも少なくありません。
しかし、舌の筋力は回復する可能性がありますし、口腔ケアやリハビリを適切に行えば、また「食べられる」状態に戻れる方はまだまだいらっしゃいます。ある患者さんの例では、痰が硬くこびりついて呼吸すら困難だった状態から、40分かけて丁寧に痰を除去し、声を取り戻したということもありました。その方は最終的に再び経口摂取ができるようになりました。
私たちは、ただ命をつなぐのではなく、「食べる喜び」や「自分らしい最期」を支える医療を目指しています。呼吸が苦しい、食べられない――そんな訴えの裏には、多くの生活の困難が隠れています。その小さな声に耳を傾け、何かできることはないかを探し続けることが、私の歯科医師としての役割だと考えています。
チームで支える診療、そして広がる可能性
「誤嚥性肺炎による年間の入院医療費が4,450億円」とも言われる今、社会全体での予防的アプローチが求められています。リハビリや適切な口腔ケアを含めた多職種連携は、その第一歩です。
ところが、歯科医師は多数いても、摂食・嚥下の専門的なケアを担える人材は限られていますし、耳鼻咽喉科の医師の数も不足しています。つまり「食べること」に困っている患者さんを診ることができる専門家がまだまだ少ないのが現状です。
私たちのクリニックが担うのは、その「隙間」にあるニーズです。嚥下障害の評価とケア、誤嚥性肺炎の予防、さらには看取りの場面での呼吸苦の緩和など、私たちができることは想像以上に多くあります。それを可能にしているのは、患者さん、ご家族、介護スタッフ、そして医療職が協力して築くチーム医療の力だと感じています。
これから受診される患者さんへ
「もう食べられない」と言われた方でも、まだ希望が残されているかもしれません。私たちは、食べることを諦めないための方法を一緒に探していきます。「もう一度、口から食べたい」「家族と一緒に食卓を囲みたい」――そんな気持ちを抱えている方がいらっしゃれば、まずは一度、ご相談ください。
もちろん、むし歯や歯周病などの一般歯科も大切にしていますが、私たちが特に力を入れているのは「食べること」「飲み込むこと」に関するケアです。私たちのクリニックが、患者さんやご家族にとっての「駆け込み寺」のような存在になれれば、これ以上に嬉しいことはありません。地域に根ざし、困っている方の力になれる存在として、これからも真摯に取り組んでまいります。
※上記記事は2025年7月に取材したものです。時間の経過による変化があることをご了承ください。
大越 良夫 院長 MEMO
- 出身地:東京都
- 出身大学:昭和大学歯学部
- 好きなこと:読書
大越 良夫 院長から聞いた
『口腔機能低下症』
口腔機能低下症とは「口の元気がなくなってきた」状態
噛む力が弱くなれば硬いものが食べにくくなったり、食事に影響が出てきます。飲み込む力が弱くなるとムセてしまったり食べ物がのどにつかえたり、食べ物が口の中に残ったままになったり、窒息のリスクも上がります。唾液が減ると口が乾いたり食べ物を上手くまとめることができなくなったりします。舌や唇の筋力が落ちるとうまく話せなかったり食べている最中に口からこぼれやすくなったりします。
食べること・話すことなど日常的な動作が行いにくくなると、会話や食事の量が減ったり、偏った食事になったりすると栄養に偏りが出たりと、全身に影響を及ぼす場合があります。
口腔機能低下症はざっくり言うと「口の元気がなくなってきたな」という感じです。今まで普通に食事や会話ができていたのにうまく呑み込めなかったり、むせたりする場合は専門医や歯科に相談してみることをお勧めします。
グラフで見る『大越 良夫 院長』のタイプ
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穏やかで明るく話しやすい先生 | ![]() |
穏やかでやさしく 話しやすい |
エネルギッシュで 明るく話しやすい |
先生を取材したスタッフまたはライターの回答より
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穏やかで明るく話しやすい先生 | ![]() |
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穏やかでやさしく 話しやすい |
エネルギッシュで 明るく話しやすい |
先生を取材したスタッフまたはライターの回答より
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